■強プラ管による曲げ配管工法
曲げ配管工法は、農林水産省「官民連携新技術研究開発事業(H15-H17)」の認定を受け、独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所と強化プラスチック複合管製造メーカー及び内外エンジニアリング(株)で組織した新技術研究開発組合との共同研究により開発したものです。
■工法の概要
パイプラインの屈曲部には、原則としてその角度に応じた曲管を使用することとされています。しかしながら曲管は高価で施工も煩雑であることから、多くの変曲点が存在する路線などでは建設コストが大きくなります。
FRPM管の継手は、内圧作用時の不平均力や地盤変動にも追従する十分な水密性能を有しており、その伸縮可とう性を活用した曲げ配管工法を開発しました。これにより屈曲角度の小さな曲管を省略し、大幅な管路コストの縮減が実現できます。
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■FRPM管の継手特性
FRPM管の継手は、最大まで屈曲したときの約1/2を許容曲げ角度とし、許容曲げ角度のさらに1/2を設計曲げ角度としています。曲げ配管は設計曲げ角度の範囲内で行います。
呼び径 |
許容曲げ角度θa |
設計曲げ角度θd |
200〜400 |
6°00'〜4°30' |
3°00'〜2°15' |
450〜800 |
4°00' |
2°00' |
900〜1000 |
3°30' |
1°45' |
1100 |
3°00' |
1°30' |
1200 |
2°50' |
1°25' |
1350 |
2°40' |
1°20' |
1500〜3000 |
2°30' |
1°15' |
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■配管計画
曲げ配管を行うには、管路の交角(θ)、曲率半径(R)を設定します。次に、管1本あたりの曲げ角度(ø)と曲げ配管の必要本数(n)を下式で求め、均等な長さ(L)の管を配置します。なお、曲げ配管を行う継手は(n+1)箇所であり、カーブ両端(BC点、EC点)の継手の曲げ角度は、ø/2とします。
(L/2)/2R=sin(ø/2)
ここに L=L1=L2=L3=L4
n=θ/ø
端数は切り上げる
〔例〕
呼び径2000、θ=5°00'、R=183m、L=4mのとき、
円弧上(3箇所)ø=1°15'
BC点、EC点 ø/2=0°38'
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■特長
□コスト縮減:屈曲角度の小さい曲管を省略して、管路コストを縮減できます。
呼び径2000×11°の鋼製曲管(1個)を省略し、10箇所の継手を曲げ配管すると、その区間(36m)の管路コストを約30%縮減できます。
□施工性:曲管を配置する場合に比べ、施工性が向上します。
曲げ配管を行う継手の接合時間は、直線配管する場合とほとんど変わりません。
□設計の自由度:河川や既設水路の湾曲に沿った配管計画が可能になり、設計の自由度か向上します。 設計段階から曲線布設で計画することにより、用地の節約などにもつながります。
□内圧への安全性:内圧によるスラスト力を曲線布設区間の広い範囲に均等に分散して支持します。 スラスト防護工を設けないので、地震発生時にも周辺地盤との位相差が生じにくい工法です。 |